ウィット、何《なん》と、綺麗《きれい》な鳥《とり》でしょう!」
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こう歌《うた》うと、鳥《とり》は黄金《きん》の鎖《くさり》を、お父《とう》さんの頸《くび》のうえへ落《おと》しました。その鎖《くさり》はすっぽりと頸《くび》へかかって、お父《とう》さんによく似合《にあ》いました。お父《とう》さんは家《うち》へ入《はい》って、
「ねえ! とても美《うつく》しい鳥《とり》だよ。そしてこんな奇麗《きれい》な、黄金《きん》の鎖《くさり》を、わたしにくれたよ。どうだい、立派《りっぱ》じゃないか。」
といいましたが、おかみさんはもう胸《むね》が苦《くる》しくって堪《たま》らないので、部屋《へや》の中《なか》へぶっ倒《たお》れた拍子《ひょうし》に、帽子《ぼうし》が脱《ぬ》げてしまいました。すると鳥《とり》がまた歌《うた》い出《だ》しました。
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「母《かあ》さんが、わたしを殺《ころ》した、」
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「おお、」と母親《ははおや》は呻《うめ》いた。「わたしは千|丈《じょう》もある地《じ》の底《そこ》へでも入《はい》っていたい。あれを聞《き》か
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