た、」
[#ここで字下げ終わり]
「おお、母《かあ》さんや、」とお父《とう》さんが言《い》った。「あすこに、綺麗《きれい》な鳥《とり》が、好《い》い声《こえ》で鳴《な》いているよ。日《ひ》がぽかぽかと射《さ》して、何《なに》もかも、肉桂《にくけい》のような甘《あま》い香気《かおり》がする。」
[#ここから2字下げ]
「妹《いもうと》のマリちゃんが、」
[#ここで字下げ終わり]
と歌《うた》うと、マリちゃんは急《きゅう》に顔《かお》をあげて、泣《な》くのをやめました。お父《とう》さんは
「おれはそばへ行って、あの鳥《とり》を、ようく見《み》て来《く》る。」というと、
「あれ、およしなさいよ!」とおかみさんが言《い》った。「わたしはまるで家《うち》じゅうに火《ひ》がついて、ぐらぐらゆすぶれてるような気《き》がするわ。」
けれどもお父《とう》さんは出《で》て行《い》って、鳥《とり》を眺《なが》めました。
[#ここから2字下げ]
「わたしの骨《ほね》をのこらず拾《ひろ》って、
手巾《はんけち》に包《つつ》んで、
杜松《ねず》の樹《き》の根元《ねもと》へ置《お》いた。
キーウィット、キー
前へ
次へ
全29ページ中25ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
グリム ヴィルヘルム・カール の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング