》は、沓下《くつした》だけで、前垂《まえだれ》を掛《か》け、片手《かたて》には、黄金《きん》の鎖《くさり》、片手《かたて》には、ヤットコを持《も》って、街《まち》の中《なか》へ跳出《とびだ》しました。そして日光《にっこう》の中《なか》へ立《た》って、鳥《とり》を眺《なが》めて居《い》ました。
「鳥《とり》や、」と金工《かざりや》が言《い》った。「何《なん》て好《い》い声《こえ》で歌《うた》うんだ。もう一|度《ど》、あの歌《うた》を歌《うた》って見《み》な。」
「いえいえ、」と鳥《とり》が言《い》った。「ただじゃア、二|度《ど》は、歌《うた》いません。それとも、その黄金《きん》の鎖《くさり》を下《くだ》さるなら、もう一|度《ど》、歌《うた》いましょう。」
「よしきた、」と金工《かざりや》が言《い》った。「それ黄金《きん》の鎖《くさり》をやる。さア、もう一|度《ど》、歌《うた》って見《み》な。」
 それを聞《き》くと、鳥《とり》は降《お》りて来《き》て、右《みぎ》の趾《あし》で黄金《きん》の鎖《くさり》を受取《うけと》り、金工《かざりや》のすぐ前《まえ》へ棲《とま》って、歌《うた》いました
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