》を食《た》べました。
 ところが、鳥《とり》は飛《と》んで行《い》って、金工《かざりや》の家根《やね》へ棲《と》まって、こう歌《うた》い出《だ》しました。
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「母《かあ》さんが、わたしを殺《ころ》した、
 父《とう》さんが、わたしを食《た》べた、
 妹《いもうと》のマリちゃんが、
 わたしの骨《ほね》をのこらず拾《ひろ》って、
 手巾《はんけち》に包《つつ》んで、
 杜松《ねず》の樹《き》の根元《ねもと》へ置《お》いた。
 キーウィット、キーウィット、何《なん》と、綺麗《きれい》な鳥《とり》でしょう!」
[#ここで字下げ終わり]
 金工《かざりや》は仕事場《しごとば》へ坐《すわ》って、黄金《きん》の鎖《くさり》を造《つく》っていましたが、家根《やね》の上《うえ》で歌《うた》っている鳥《とり》の声《こえ》を聞《き》くと、いい声《こえ》だと思《おも》って、立上《たちあが》って見《み》に来《き》ました。けれども閾《しきい》を跨《また》ぐ時《とき》に、片方《かたほう》の上沓《うわぐつ》が脱《ぬ》げたので、片足《かたあし》には、上沓《うわぐつ》を穿《は》き、片足《かたあし
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