ん。そのうち日がくれたので、森の中へはいって、そこでひとばんあかすことにしました。
 まず、ろばと犬とは、一本の木の下にごろりと横になりました。ねことおんどりとは、木の枝の上にやすみました。ところで、おんどりはわざわざこずえの先まで行ってとまりましたが、これが、いちばんの安全な場所であったのです。さてねようとするまえ、このおんどりはもういちど、東西南北、風のふく方角がどこかとながめまわしたとき、ふと、むこうに、ちらちら火らしいものがみえたので、なかまに声をかけて、どうしても、そうとおくないところに家があって、あかりがついているらしいといってしらせました。
 ろばが、そこで、
「じゃあおれたち、ここをひきはらって、もっと先まで行ってみようや。どうもこの宿は上等《じょうとう》とはいかないから。」と、いいますと、犬もそこへ行ったら、骨の一、二本、ことによると肉の香《かおり》ぐらいかげようかとおもって、さっそくさんせいしました。
 こういうしだいで、四人組は、そのあかりのさしている方角《ほうがく》にむかって、出かけました。するうち、あかりはずんずんはっきりしてきて、ぱあっとてりだしたとおもうと
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