さまのところへつれてこられると、王さまは、むすめをさっそく、わらのいっぱいつんであるおへやにいれました。そうして、糸車とまきわく[#「まきわく」に傍点]をわたして、こういいました。
「さあ、すぐと、しごとにかかるがよい。今夜からあしたの朝はやくまでかかって、このわらが金につむげなければ、そちのいのちはないものとおもうがよいぞ。」
 こういいのこして、王さまは、じぶんでへやの戸に、じょうをかってしまいました。むすめは、ひとりぼっち、あとにのこりました。
 さて、むすめは、ぽつねんとそこにすわったきり、いったいどうしたらいいのか、とほうにくれていました。わらを金につむぐなんて、そんなこと、まるでわかりようはありません。だんだん、心配になってきて、とうとう、たまらなくなると、むすめはわっと泣きだしました。
 するうち、ふと、戸があきました。ひとり、豆つぶのように小さな男がはいってきて、こういいました。
「こんばんは、こなやのおじょっちゃん、なんでそんなにかなしそうに泣きなさるえ。」
「まあ、あたし、わらを金につむがなければならないのだけれど、どうしてするものだかわからないの。」と、むすめはい
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