した。
ラプンツェルは、まだ一|度《ど》も、男《おとこ》というものを見《み》たことがなかったので、今《いま》王子《おうじ》が入《はい》って来《き》たのを見《み》ると、初《はじ》めは大変《たいへん》に驚《おどろ》きました。けれども王子《おうじ》は優《やさ》しく話《はな》しかけて、一|度《ど》聞《き》いた歌《うた》が、深《ふか》く心《こころ》に泌《し》み込《こ》んで、顔《かお》を見《み》るまでは、どうしても気《き》が安《やす》まらなかったことを話《はな》したので、ラプンツェルもやっと安心《あんしん》しました。それから王子《おうじ》が妻《つま》になってくれないかと言《い》い出《だ》すと、少女《むすめ》は王子《おうじ》の若《わか》くって、美《うつく》しいのを見《み》て、心《こころ》の中《うち》で、
「あのゴテルのお婆《ばあ》さんよりは、この人《ひと》の方《ほう》がよっぽどあたしをかわいがってくれそうだ。」
と思《おも》いましたので、はい、といって、手《て》を握《にぎ》らせました。少女《むすめ》はまた
「あたし、あなたとご一しょに行《い》きたいんだが、わたしには、どうして降《お》りたらいいか分
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