おいいりの、びんせんに、きれいに書いたこの手紙とちがって、つぎの手紙は、大きなびんせんに書きなぐってあります。
 わたしのたっといおかあさん。
 なつかしき父上のために、ばんざい三唱、おとうさんのよくなられたことを、電報で知らせて下さるブルック先生まことに頼もしきかぎり、電報を見て屋根部屋へかけあがり、わたしたちによくして下さる神さまにお礼を申さんとせしも、ただ大声で、うれしいとくり返し泣きましたのみ。でも、長きいのりとおなじかと存じます。
 わたしどもは、おもしろく暮しています。みんなひどく親切で、山鳩の巣にいるごとし。メグねえさんは、おかあさんらしくふるまい、日に日に美しくなり、いもうとたちは、かわいい天使のようです。わたしは、あいかわらずのジョウ。そうそうローリイと、けんかしました。わたしのほうが正しいがいいわけしたのがわるく、わたしがあやまるまで来ないといって帰り、国交断絶、わたしはローリイのあやまりに来るのを待ちましたが来ません。その晩、エミイが川に落ちたときの、おかあさんの教訓を思い出し、聖書を読んだらおちついて、怒ったままねてはならぬと、あやまりに来るローリイとあい、すっかり心は晴れ、元どおり仲よしとなりました。昨日のハンナの洗濯のお手伝いをして詩をつくりました。お笑草に。おとうさんに、わたしにかわって、愛情こめてキッスをしてあげて下さい。でたらめのジョウより、
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   しゃぼん水のうた
わたしのたらいの女王さま、わたしはたのしくうたいます。
白いあわが、ぶくぶく高くたつあいだに
せっせとあらって、しぼって、ほします。
きれいなお空の下で、吹きまわる風に
せんたくものは、ひらひらふかれます。

あたしたちの心とたましいについた
一週間のけがれをあらいたい。
水と空気のふしぎなちからで
きれいにきれいにきよめたい。
そうすれやこの世に、とてもすてきな
せんたく日がおこなわれるでしょう。

よき人の世の小道には
いつもパンジイが咲くでしょう
いそがしい心は かなしみも うれいも なやみも
考えるひまは、ありはしない
ほうきをせっせとつかうときには
なやむ思いもはいてしまう。

日ごと日ごとにつとめる仕事が
わたしにあたえられたのはうれしい。
仕事がつよいからだと ちからとのぞみを もってきてくれる
頭でいろいろよく考え 心でいろいろよ
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