世界怪談名作集
貸家
リットン Edward George Earle Bulwer−Lytton
岡本綺堂訳
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)化《ば》け物《もの》屋敷
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)都合|四間《よま》の
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#ここから2字下げ]
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一
わたしの友達――著述家で哲学者である男が、ある日、冗談と真面目と半分まじりな調子で、わたしに話した。
「われわれは最近思いもつかないことに出逢ったよ。ロンドンのまんなかに化《ば》け物《もの》屋敷を見つけたぜ」
「ほんとうか。何が出る。……幽霊か」
「さあ、たしかな返事はできないが、僕の知っているのはまずこれだけのことだ。六週間以前に、家内と僕とが二人連れで、家具付きのアパートメントをさがしに出て、ある閑静な町をとおると、窓に家具付き貸間という札《ふだ》が貼ってある家を見つけたのだ。場所もわれわれに適当であると思ったので、はいってみると部屋も気に入った。そこでまず一週間の約束で借りる約束をしたのだが……
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