いの不運を歎きあい、ドレリンコート(十七世紀におけるフランスの神学者)の「死」に関する著書や、その他の書物を一緒に読み、そうしてまた、二人のキリスト教徒の友達のように、彼女らは自分たちの悲しみを慰めあっていた。
その後、彼女はヴィールという男と結婚した。ヴィールの友達は彼を周旋《しゅうせん》してドーバーの税関に勤めるようにしたので、ヴィール夫人とバーグレーヴ夫人との交通は自然だんだんに疎遠になった。といって、別に二人の間が気まずくなったというわけではなかったが、とにかくにその心持ちが追いおいに離れていって、ついにバーグレーヴ夫人は二年半も彼女に逢わなかった。もっとも、バーグレーヴ夫人はその間の十二カ月以上もドーバーにはいなかった。また最近の半年のうちで、ほとんど二カ月間カンタベリーにある自分の実家に住んでいたのであった。
この実家で、一七〇五年九月八日の午前に、バーグレーヴ夫人はひとりで坐りながら、自分の不運な生涯を考えていた。そうして、自分のこうした逆境もみな持って生まれた運命であると諦《あきら》めなければならないと、自分で自分に言い聞かせていた。そうして彼女はこう言った。
「
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