怪奇人造島
寺島柾史

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)南京《ナンキン》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)冷凍船|虎丸《タイガーまる》には、

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#「どろぼう」に傍点]
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   一 怪汽船と怪老人

     どろぼう船

 冷凍船|虎丸《タイガーまる》には、僕(山路健二)のほかに、もう一人ボーイがいた。それは、南京《ナンキン》生れの陳秀峰《チャンチューホー》と、自ら名乗る紅顔の美少年だ。
 ピコル船長|附《つき》のボーイだから、僕のような、雑役夫《ざつえきふ》にひとしいボーイと、めったに話合う機会もなかったが、船が函館港を出帆し、北上してから三昼夜目、すでに北千島圏内に入ったある日、後甲板で、二人は、ひょっこり出会った。すると、陳《チャン》君は、流暢《りゅうちょう》な日本語で、僕にそっと話かけた。
「カナダのH・G汽船会社の所属船が、どうして、僕等のような東洋人を雇うのか、君は、知っているかい」
 まるで、少女のように優しい声だ。僕は、何となく親しみを覚えて、
「それは
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