野口英世博士の生家を訪ひて
(野口記念館の設立を希望す)
土井晩翠

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【テキスト中に現れる記号について】

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   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)光※[#「火+稻のつくり」、第4水準2−79−88]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)いろ/\の
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 東京朝日新聞に、『世界人の横顏』の第十六回野口英世のそれが、北島博士の筆で面白く書かれたのを讀んだのは半年前である。甚だ漠然としてゐる言葉だが『世界人』とは文明世界一般に廣く知られてゐる偉人といふ意味であらう。但し名が喧傳すると共に眞に世界の文化に貢獻して多大の恩惠を施し、その報として眞に受くべき光榮を世界から受けた人なら一層ありがたい、文字通りにも有り難い、野口は正にかゝる種類の世界人で、日本のために萬丈の光※[#「火+稻のつくり」、第4水準2−79−88]を發揮した人――日本國が世界の學界に誇るに足る大學者――日本人種優良の現證を示して、日本人の自重心自信力を高める好個の活教訓である。

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