「晩翠放談」自序
土井晩翠

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「宮城野の本荒の小萩露を重み風を待つごと君をこそ待て」(古今集戀の部よみ人知らず)此昔の名所本荒の郷が今日仙臺市本荒町のある處其二十一番地が私の本邸であつたが、若干の貸家と共に二十年(一九四五)七月十日の爆撃で灰燼となつた。今は一友人の厚意に因り其所有の借舍、青葉山に對し廣瀬川に臨む花壇川前町に鷦鷯一枝の安を得つゝある。其陋居に一月二十八日河北新報社の村上辰雄君が來訪、「晩翠放談」を刊行しようとの厚意であつた。次いで二月五日立春の日に村上辰雄君と宮崎泰二郎君と筆記者建宮君とが來訪し、老來健忘のみならず資料は悉く燒亡して甚だ覺束ない私の幼少年時代の思ひ出を記録した。第二の放談會は河北新報社長菅野千代夫君の招待で清水小路の茶寮五橋亭に於て十二日一力次郎君、鈴木紀一郎君、小池堅治君、高畠直定君、村上辰雄君、白石辰男君、宮崎泰二郎君、櫻井平喜君と共に
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