をすなほに、ずばりと、大胆に率直に詠んだ歌といふものは一向に之れ無い。一寸開けて見てこれぢや、もつと面白い歌が此の集中に満ちて居るに違ひない。そもそも、歌は人の心を種として言葉の手品を使ふものとのみ合点して居た拙者は、斯ういふ種も仕掛も無い誰にも承知の出来る歌も亦当節新発明に為つて居たかと、くれぐれも感心仕る。新派といふものを途法もないものと感ちがひ致居りたる段、全く拙者のひねくれより起りたることと懺悔に及び候也。
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犬の年の大水後
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[#地から2字上げ]藪野椋十
底本:「啄木全集 第一巻」筑摩書房
1967(昭和42)年6月30日初版第1刷発行
1967(昭和42)年8月10日初版第2刷発行
※この作品は底本では、石川啄木「一握の砂」の冒頭に、固有の表題なしで組み入れられています。
入力:富田倫生
校正:小林繁雄
2003年10月23日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティ
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