した。
 此等二匹の牛のほかに、山羊や小猫もいました。けれども、スバーは、牛共に対するほどの親しみは持っていませんでした。彼等の方では同じようになついていましたが。小猫などは、折さえあると夜昼かまわずスバーの膝にとび上り心持よさそうに丸まって、彼女が柔かい指で背中や頸を撫で撫で寝かしつけて呉れるのを、何より嬉しそうにします。
 スバーは、此他もう少し高等な生きものの中にも一人の仲間を持っていました。ただ、その仲間と云うのも、どんな風な仲間と云ってよいのか、一口で云うのは難しいことでした。何故なら、彼女のその仲間は、話が出来ました。彼に話しが出来ることが、却って二人の間にちっとも共通な言葉をなくして仕舞っていたからです。
 その仲間と云うのは、ゴサインと云う家の末息子で、プラタプと云う懶《なま》け者でした。彼の両親は、長い間散々種々やって見た揚句、到頭、彼もいつかは一人前の男に成るだろうと云う希望を、すっかり棄てて仕舞いました。一体、のらくら者と云うものは、家の者からこそ嫌がられますけれども、他処《よそ》の人々は、誰にでも大抵気に入られると云う得を持っています。彼等を繋いで置く職務等と云
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