唖なことを思い当ることが出来ましょう。彼女の二人の姉は、スケシニ(美しい捲毛の人)スハスニ(愛らしく微笑むもの)と云う名でした。お揃にする為、父親は一番末の娘にも、スバシニと云う名をつけたのでした。彼女は、其をちぢめてスバーと呼ばれていました。
二人の姉達は、世間並の費用と面倒とで、もう結婚して仕舞っていました。今は唖の末娘が両親の深い心がかりとなっています。世の中の人は、皆、彼女が物を云わないので、ちっとも物に感じない、とでも思っているようでした。彼女の行末のことだの、心配だのを、彼女の目の前で平気に論判します。スバーは、極く小さい子供の時から、神が何かの祟りのように自分を父の家にお遣しになったのを知っていたのでなみの人々から遠慮し、一人だけ離れて暮して行こうとしました。若し皆が、彼女のことをすっかり忘れ切って仕舞っても、スバーは、ちっとも其を辛いとは思わなかったでしょう。
けれども、誰が心労を忘れることが出来ましょう? 夜も昼も、スバーの両親の心は彼女の為に痛んでいるのでした。
わけても、母親は彼女を、まるで自分の不具のように思って見ました。母にとって、娘と云うものは、息子よ
前へ
次へ
全16ページ中2ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
タゴール ラビンドラナート の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング