ほしいものを犠牲にするのがおしいというように頭をふりました。
「だけど、あたしたちの一ドルを献金したって、たいして兵隊さんの役にたつとは思えないわ。あたしはおかあさんやあなたがたから、プレゼントがもらえないのはいいとして、じぶんでアンデインとシントラム(本の名)を買いたいわ。前からほしかったんですもの。」と、本の好きなジョウがそういうと、ベスはため息をつきながら、
「あたしはあたらしい譜本を買いたいわ。」
エミイも、きっぱりと、
「あたし、フェバアの上等の色鉛筆がほしいわ。ほんとにあたしいるんですもの。」と、いいました。ジョウは、
「おかあさんは、あたしたちのお金のこと、なんにもおっしゃらなかったわ。だから、めいめいほしいものを買ってたのしみましょうよ。これだけのお金をもうけるのに、みんなずいぶん苦労したんだもの。」と、紳士がやるように長靴のかかとをしらべながらいいました。
「そうよ、ほとんど一日中、あのやっかいな子供たちの勉強を見てやるのたまらないわ。」と、メグがまたも不平をいいますと、つづいてジョウが、
「そんなことあたしの半分の苦労じゃないわ。あたしは、神経痛で気むずかしいおば
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