あさんに使われてさ。どんなにしてあげても気にいらなくて、いっそのこと窓からとびだそうか、それとも、おばあさんの横っ面をはりとばしてやろうかと思うくらいよ。」
「不平、いってもしょうがないけど、皿をあらったり、そこらを片づけたり、そんな家のなかの仕事は、ほんとにいやな仕事だわ。手がこわばって、ピアノひけないわ。」
 ベスは大きな[#「大きな」は底本では「大さな」]ため息をついて、荒れたじぶんの手を見ました。すると、エミイも大声でいいました。
「あたしぐらい苦労しているものないわ。だって、あなたたちは、勉強ができないといっていじめたり、服がおかしいといって笑ったり、おとうさんが金持でないといったり、鼻のかっこうがわるいといってあざけったりする生意気な連中と、いっしょに学校にいかなくてもいいんですもの。」
 こうして、みんなが不平をぶちまけたあげく、メグがいいました。
「あたしたちの小さいとき、おとうさんのなくされたお金が、今でもあったらいいと思わない? そうしたら、どんなに幸福でしょう。」
 すると、ベスが聞きとがめていいました。
「こないだ、ねえさんは、キングさんのとこの子は、お金があっ
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