ツ流を教えてくれたが、まわったりはねたりすることが多いのでおもしろく踊れました。音楽がやむと、二人は階段にやすんで話しましたが、つぎの部屋でメグが手まねきしたので、ジョウがしぶしぶいってみると、メグは足をかかえ、青い顔をしてソファにすわっていました。
「高いかかとがひっくりかえって、くるぶしをひどくいためたの。痛くて立てそうもないわ。どうやって家へ帰ろうかしら?」
ジョウは姉のくるぶしをそっとなでてやりながら、
「あんまりかかとが高いから、けがすると思ったわ。お気のどくね。だけど、どうしたらいいでしょう。馬車を頼むか、ここに夜通しいるか。」と、こまった顔をしました。
「馬車を頼めば高いし、頼みにいってもらう人もいないし、ここへはとめてもらえないし、あたしハンナが来たら、なんとか考えるわ。あら、みんな夜食にいくわ。あなたもいって、あたしにコーヒーもらって来てよ。あたし疲れて動けないわ。」
ジョウは、いそいでいきましたが、あちこち部屋をまちがえて、やっと食堂にはいり、コーヒー茶わんに手をかけたとたん、こぼして服の前をよごしてしまいました。それを、あわてて手袋でこすったので、手袋もよごしてしまいました。
「お手伝いしましょう。」
親しみのある声がしました。それは片手にコーヒー茶わん、片手にアイスクリームの皿をもったローリイでした。
「あたしねえさんのところへ、コーヒーをもっていこうとしましたら、また、やりそこないましたの。」
「ちょうどいい。わたし[#「わたし」は底本では「たわし」]がもっていってあげましょう。」
ジョウがさきにいきました。ローリイは、なれたものごしで、コーヒーとアイスクリームを、メグにすすめ、ジョウのために、もう一度とりにいってくれました。三人が、しばらく話しているうちにハンナが来ました。メグはびっこをひきひき帰り支度をしに二階へいきました。そのあいだに、ジョウは玄関へいって、下男らしい人に、馬車をやとうことを頼みましたが、その人はその日だけやとわれた下男で、近所のことは知りませんでした。すると、ローリイが聞きつけて来ていいました。
「どうか送らせて下さい。道はおなじですし、それに雨もふっています。」
ローリイは、じぶんを迎えに来たおじいさんの馬車に、メグとジョウとハンナをのせました。みんなは、ぜいだくな箱馬車にのって、たのしい、ゆたかな気持にひたりながら帰りました。ローリイは馭者台にのったので、メグは痛い足を前に出すことができ、姉妹は気がねなしに話をすることができました。
「あたし、とてもおもしろかったわ。」と、ジョウは髪をかきあげながらいいました。
「あたしもよ、けがするまでは、サーリイさんのお友だちの、マフォットさんという方と仲よしになったのよ。サーリイさんと一週間とまりがけで来るようにといって下すったわ。サーリイさんは、春になってオペラがはじまるといらっしゃるんですって。あたしおかあさんがいかして下さるといいけど。」
メグは元気づきながらいいました。
「おねえさんは、あたしがにげ出したあの赤い髪の人と踊ったのね、あの人、いい人だった?」
「ええ、髪はとび色よ。ていねいな方で、あたし気持よく踊ったわ。」
「あの人、足を出すとき、ひきつった、きりぎりすみたいだったわ。ローリイさんとあたし笑ってしまったわ。あたしたちの笑うの聞えなかった?」
「いいえ、それやぶしつけだわ。あなたたち、そこにかくれて、なにしてたの?」
ジョウは、そこでじぶんたちのやったことを話しました。その話がおわったとき、馬車は家へつきました。姉妹は、あつくお礼をのべて馬車をおり、そっと家へはいりましたが、扉の音で二つの小さな頭がうごき、ねむそうな、けれど熱心な[#「熱心な」は底本では「熱心が」]声がしました。
「ねえ、会の話をしてよ?」
ジョウは、メグのいう、ひどいお作法をやって、妹たちにボンボンをもってきてやりました。妹たちはそれをもらい、その夜の胸のわくわくするような話を聞いて、まもなく寝入ってしまいました。メグは、ジョウは、薬をぬってほうたいをしてもらいながら、
「馬車で夜会から帰り、ねま着のまますわって、女中に世話してもらって、りっぱな貴婦人みたいだわ。」と、いいました。
「あたしたちは、髪の毛をやいたり、服が古かったり、手袋が片方だけだったり、きつい靴をはいてくるぶしをくじいたり、とんまのまぬけだけどね[#「だけどね」は底本では「だけねど」]、たのしかったわねえ。」と、ジョウがいいましたがほんとにそのとおりだったのです。
第四 重い荷をかついで
「やれやれ、またお荷物かついで仕事をはじめるの、なんてつらいんでしょう。」
会のあくる朝、メグはため息をつきました。一週間たのしく遊んだあとで、いやな
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