をして裁縫をしたり、おかあさんが尋ねると、どこもわるくないと答え、ジョウが尋ねると、ほっておいてちょうだいと答えました。
「メグねえさんは、あれを空気のなかで感じたんです。あれって恋のことですよ。そして、どんどん進行していくんです。ふきげんで[#「ふきげんで」は底本では「ふさげんで」]、食慾がなく、夜はねむらないし、「小川の声は銀鈴のようにささやく。」とうたっていたし、ねえ、おかあさん、どうしたらいいんでしょう?」
「待っているほかはありません。親切にしてあげて、おとうさんが帰っていらっしゃれば、なにもかもかたがつきます。」
そのあくる日、ジョウがれいの郵便局にはいっていたものを配達して、
「メグねえさんのところへお手紙よ。ローリイ、なんだってこんなにいかめしく封をしたんでしょう?」
メグは、手紙を読むと、ただならぬ声をあげ、おびえたような顔をしました。おかあさんもジョウもおどろいてしまいました。
「まあ、ひどい、あなたが書いて、あの不良少年が手伝ったのでしょ。よくもあなたは、あたしたち二人に、こんならんぼうな、いやしいまねができたものねえ。」と、メグは、胸がつぶれでもしたように泣きました。
ジョウは、おかあさんといっしょに、その手紙を読みました。
最愛のマーガレットへ、
わたしはもう熱情をおさえることができなくなりました。帰宅する前にじぶんの運命を知りたく思います。まだ御両親には話さないでいますが、わたしたち二人が愛し合っていることがわかれば、御承認下さると思います。ローレンスさまは、必らずわたしを適当なところへお世話下さるでしょう。そのときは、愛する少女よ。わたしを幸福にして下さるでしょう。なお、御家族にはなにごともおもらしなきよう。ただ希望の一言をローリイさんの手をとおしてお送り下さい。あなたにささげたジョンより、
「まあ、まあこのいたずら小僧! あたしがおかあさんとの約束をまもっているしかえしなんだ。いって、うんと怒って、ひきずって来てあやまらせる。」と、ジョウは、かっとなり、すぐにもとび出しそうにしましたが、おかあさんが、ひきとめきつい顔をしていいました。
「ジョウ、お待ち、まずあなたが、じぶんの証をたてなければなりません。あんたは、これに関係ありませんか?」
「いいえ、おかあさん。けっして。あたし今までにこの手紙見たこともなく、なんにも知りません。もし関係したのなら、もっとうまく、もっとじょうずに書きます。あたしだって、ブルックさんがこんな手紙書かないことわかってますわ。」と、ジョウはいまいましそうに、その手紙を床にたたきつけました。
「あのかたの書いたのと似ています。」と、メグはそれをじぶんの手にあるのと見くらべながら口ごもりました。
「メグ、まさかあなたは返事は出さなかったでしょうね?」と、おかあさんはせきこんでいうと、メグは、はずかしそうに、
「出しましたわ。」
ジョウは、
「あたし、あのいたずら小僧をひっぱって来て白状させ、うん[#「うん」は底本では「うふ」]としかってやります。」と、ふたたび走り出そうとしました。
「およし、考えていたよりも、こまったことになりました。メグ、みんなお話しなさい。」
おかあさんは、メグのそばに腰をおろし、ジョウをしっかりとつかまえました。
「はじめの手紙をローリイから受取って、おかあさんにうち明けるつもりでしたが、ブルックさんが好きだとおっしゃったこと思い出して、四五日くらい秘密にしといてもいいと思いましたの。お許し下さい、ばかなまねをしたばつです。二度とあのかたに顔を合すことができません。」
「それで、なんとお返事しましたの?」
「そんなことを考えるのはまだ年がわかいし、それにおかあさんに秘密を持ちたくないから、おとうさんにいって下さい、御親切はありがたいと思いますが、ただのお友だちとしてつき合いをしていきたいと申しあげましたの。」
おかあさんは、いかにも満足そうにほほえみ、ジョウは手をたたいて、
「おねえさんは、つつしみ深いわ、メグ、いってちょうだい、あの人、なんといってよこした?」
「恋文なんて出したおぼえはないし、いたずら好きの妹さんが、わたしたちの名を勝手に使うのは遺憾だと書いてありました。親切なお手紙でしたけれど、あたしはずかしくて。」
メグはしおれておかあさんによりそい、ジョウはローリイをののしりながら部屋を歩きまわりましたが、ふとたちどまり、二通の手紙をとりあげて見くらべていましたが、
「二つともブルックさん見ていないと思うわ。ローリイが二つとも書いて、あたしが秘密をいわなかったものだから、おねえさんのをとっておいて、あたしをやりこめようというんだわ。」
「ジョウ、秘密なんか持ってはだめよ。」と、メグがいいました。
「いやだわ、おかあさんから
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