柳と松

そらそらお庭を
見てごらん
柳はやさしい
おぢやうさん
松はがうじやう
おぼつちやん。

遊びませうと
風が來て
あんなに誘《さそ》つて
ゐるけれど
松はだまつて
知らぬ顏。

風ともつれて
遊ぶのは
しなしな青い
ふり袖《そで》の
やさしい柳の
おぢやうさん。
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   りんごの皮むき

さあさりんごの
皮むきだ
きれずに長く
つながつて
するするむけば
いいんだよ。

お人形《にんぎよう》さんの
帶《おび》のよに
腕《うで》[#ルビの「うで」は底本では「で」]の時計《とけい》の
紐《ひも》のよに
ちやんときれいに
むくんだよ。

さあさりんごの
皮むきだ
銀《ぎん》のナイフは
よく切れる
手《て》を氣《き》をつけて
むくんだよ。
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   春が來た

そよそよ春風《はるかぜ》
吹いて來て
やさしい聲で
いひました。

「かはいいつぼみよ
みなお起《お》き
起きなきやそうれ
くすぐるよ!」

そこでつぼみは
目をさまし
花を咲かして
いひました。

「おやもう春が
來《き》てたのか
あたり近所《きんじよ》が
まぶしいな!」
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