かつたら。

なんてやさしい
話しごゑ
のぞいて見れば
てふてふは

小《ちひ》さいすみれの
花のかげ
とんとんとろりと
もうねてた。
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   つかまへたいな

つかまへたいな
まつ白い雲《くも》を
お空でをどる
まつ白い雲を。

つかまへたいな
小《ちひ》ちやな風を
葉《は》つぱをゆする
小ちやな風を。

つかまへたいな
かはいい聲を
あかちやんの笑ふ
かはいい聲を。
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   熊

のつそり のつそり
檻《をり》のなか
行《い》つたり來《き》たり
黒い熊《くま》。

暑《あつ》さも暑《あつ》いし
日は長《なが》い
朝からあくびは
十六ぺん。

しかたがなしに
首《くび》ふつて
のつそり のつそり
黒い熊。
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   さくらの花道

さくらの花道《はなみち》
花のかげ
白いほんぼり
灯《ひ》がとぼる。

とぼりやほんのり
夢のいろ
さくらの花が
うすあかい。

もしも雪駄《せつた》で
稚子髷《ちごまげ》で
ゆらり袂《たもと》で
通《とほ》つたら

さくらの花道
花のかげ
むかしの夢が
見れるだろ。
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   春の山

霞の蒲團
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