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   野原と小川

丘にのぼつて
眺めたら
まるで姉さんの
お羽織を
ひろげたやうな
野原です。

赤や黄色に
咲く花は
青地に染めた
飛模樣《とびもやう》
のどかなのどかな
五月です。

丘にのぼつて
眺めたら
まるで母さんの
丸帶を
ほどいたやうな
小川です。

水のおもての
かがやきは
浮《う》き織りにした
銀の糸
のどかなのどかな
五月です。
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   足柄山

足柄山《あしがらやま》の
かすみは深い
山道すつかり
かくれてしもた。

金太郎さんは
困つてしもた
仕方がないから
おういと呼んだ
まつかな顏《かほ》して
おういと呼んだ。

するとのつそり
熊が顏出した
金太郎さんは
おどろいてしもた
なんだそんなに
近くにゐたか

足柄山の
かすみは深い
山道すつかり
かくれてしもた。
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   ふしぎな人形

銀のお月さま
かたいかな
かたくないなら
小刀《こがたな》で
ぼくは人形が
きざみたい。

できたら星を
目にはめて
夕日の紅《べに》を
口《くち》にさし
雲をちぎつて
髮にする。

とてもふしぎな
人形だ
きつとみんなは
ほしがる
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