、姉娘は自分の言葉で、お母さまと妹とを笑わせたので、わざとお調子に乗って、
『だけど、燃えがら姫が、ぼろ服で今夜の舞踏会へ行こうものなら、どんなに笑われるでしょうね。そのかわり、今度、豚の舞踏会に招かれたら、さっそく出かけるといいわ。大丈夫笑われやしないから。』
 と、いいました。お母さまと妹娘とは、また声をたてて笑ってしまいました。
 シンデレラは、さすがに悲しくて、思わず涙を落しそうになりましたが、たたんでいる服に落したら大変だと思って、あわてて手の甲でこすりました。
 しばらくは、服のお着替《きかえ》で大騒でしたが、それもやっと済んで、姉娘と妹娘は、お母さまに見送られて出かけて行きました。
 シンデレラは、二人が行ってしまうと、急に悲しくなって、台所の隅へ行きましたが、そのままそこへ泣き伏してしまいました。
 すると、間もなく、誰かそっとシンデレラの肩をたたく者があります。
 びっくりして顔をあげてふり向くと、どこかの知らないお婆さんが杖を持って、にこにこ笑っておりました。
『そんなに泣くものじゃないよ。』
『だって……だって……』
 シンデレラは、涙が流れて咽喉《のど》がつまっ
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