からだわ。』
シンデレラは、そう考えて、ちっともいやな顔も見せないで、お母さまと二人の姉さんたちに、精一杯仕えようとしました。けれど意地悪の三人には、そのシンデレラの優しさ、すなおな気だてが、かえって憎らしく思われるのでした。
『ほんとに小憎らしい子だよ。』
お母さまは、シンデレラを目の敵《かたき》のようにして、わざとたくさんの用事をいいつけて、朝から晩までこき使いました。
お掃除、皿洗、水汲――シンデレラは、独楽鼠《こまねずみ》のように、くるくる身体を動かして、立ち働かなくてはなりませんでした。
そして用事がやっと済むと、いつも部屋の隅の炉端へ行って燃えがらと灰にまみれて休むのでしたが、その短い休息がシンデレラにはなによりの楽しい時間でありました。そのかわり、姉娘から、とうとう『燃えがら姫』というあだ名を、つけられてしまいました。
悲しいシンデレラ
ある時、王さまの御殿で、舞踏会《ぶとうかい》が開かれることになりました。
姉娘も、妹娘も、お招《まねき》を受けたので、それはそれは大喜びでした。けれど、どの服を着て行こうか、それをきめるのが大変でした。
二人は箪
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