せん。どうかして、このガラスの靴をたよりに、探し出したいと思って、
『この小さなガラスの靴に、ぴったりと合う足を持った少女と結婚する。』
 という、お布告《ふれ》を出しました。
 家来たちは、ガラスの靴を持って、これはと思う娘たちのところへ行って、はかせてみましたが、みんな合いませんでした。とうとうシンデレラの家へも、家来たちがやって来ました。姉娘たちに、はかせてみましたが、やっぱりだめでした。
 シンデレラは、そのガラスの靴が、自分のものだと、すぐに知りましたから、
『あたしに、合わないかしら?』
 と、笑いながらいいました。
 すると、姉娘たちはふき出して、
『なんて図々しいことをいうんだろう!』
 と、あざけりました。
 けれど、家来たちは、シンデレラが美しいのを見て、ぜひ試させたいと思いました。
『どうぞ、はいてみて下さい。』
 そこで、シンデレラ[#「シンデレラ」は底本では「シンデラ」]は、その靴に足を入れました。ところが、どうでしょう! まるで蝋で型をとった靴みたいに、ぴったりと合いました。
『や、や、や! あなたでした。あなたでした!』
 家来たちは、驚いてしまいました。
前へ 次へ
全17ページ中14ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
水谷 まさる の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング