姉娘たちも、驚いて顔色を変えました。
シンデレラは、屋根裏の戸棚から、もう一つのガラスの靴をとり出して来て、片方の足にはきました。もう疑う余地はありません。
そこへ、いつの間にか、魔法使のお婆さんが来ました。
そして、シンデレラの身体にちょっと杖をあてますと、ぼろ服はたちまち美しい服に変りました。姉娘たちは、思わずその前にひれ伏してしまいました。
『シンデレラさん、どうぞ許して下さい。わたしたちは、意地わるばかりしました。』
『ほんとに、長い間、苦しめました。さぞ、辛かったでしょう。どうぞ許して下さい。』
二人は、心からお詫《わび》をしました。
そこへ、お母さまも来ました。お母さまも泣いてあやまりました。
『シンデレラや。どうぞわたしをぶっておくれ、たたいておくれ、蹴っておくれ。』
お母さまは、気が狂ったようにいいましたが、もともとやさしい気だてのシンデレラは、すこしも怨《うら》みがましいこともいわず、ただうれし泣きに泣いて許しました。
ああ、そのために、シンデレラは、いよいよ美しく、光りかがやいて見えました。家来たちは、シンデレラが美しいばかりでなく、心も美しいこと
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