、たゞ、じぶんの船からにげ出した、相かはらずのなぐれもの[#「なぐれもの」に傍点]ゝ一人の後日談として告げて来たのです。牧師は、いつも言つてゐます。
「こんなわけで、ウ※[#小書き片仮名ヲ、398−下−17]ルターは、今もつて、つひにどこからも一片の表彰をされたこともなく、この先も永久に、一人のかくれた偉人としてをはるわけですが、彼のこの絶大な勇気と、このりんぜん[#「りんぜん」に傍点]たる愛国的奉仕とは、いつ/\までも神と人間との前に、無限の霊光をはなつものでなければなりません。」ホームス牧師は、かう言ひつゝ常に熱涙をながして彼のおどろくべき事蹟を語るのでした。



底本:「日本児童文学大系 第一〇巻」ほるぷ出版
   1978(昭和53)年11月30日初刷発行
底本の親本:「鈴木三重吉童話全集 第八巻」文泉堂書店
   1975(昭和50)年9月
初出:「赤い鳥」赤い鳥社
   1927(昭和2)年11月〜1928(昭和3)年1月
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:tatsuki
校正:林 幸雄
2007年2月19日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
前へ 終わり
全4ページ中4ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
鈴木 三重吉 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング