くゞつて総司令部へ行きつきました。」
手紙はこれでぷつりと終つてゐます。ホームスさんは、このしまひのところへ来て、はッと目をかがやかしました。こゝまでよむと、そのウ※[#小書き片仮名ヲ、388−下−14]ルターそつくりの乞食といふのは無論ウ※[#小書き片仮名ヲ、388−下−15]ルター自身のことで、彼は今、さういふ乞食に仮装して祖国の軍隊のために、軍事探偵をつとめてゐるのだといふことが焼きつくやうに胸を打つたからです。
ホームスさんはよろこび勇んで、ウ※[#小書き片仮名ヲ、388−下−18]ルターの両親をさがしに出かけました。しかし二人とも、もう死んでしまつてをりませんでした。ウ※[#小書き片仮名ヲ、388−下−20]ルターは、一人子でした。その上、ほかにだれ一人、身うちのものもゐないことが分りました。
ホームスさんは仕方なく、ウ※[#小書き片仮名ヲ、389−上−2]ルターの宿所らしい、メソポタミヤの、変な宛所へ向つて、手紙を出し、彼の愛国家としての働きをほめ、なほこの上の奮闘努力をたのむといふ意味をかいて、はげましました。すると中三月おいてウ※[#小書き片仮名ヲ、389−上−5
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