の女はそれを聞くと、いそいで岸へ上《あが》りました。二人の姉はすぐに着物を着て、目に見えぬ蜘蛛の糸の梯子《はしご》を上《のぼ》つて、大空へかへつていきました。
 三人の中で一ばん美しい下の妹は、一しよにぬいでおいた着物がないのでびつくりしました。それがなければ空へかへることが出来ないので、一しようけんめいにあたりをさがしましたが、見つかりません。
 そのうちに、お日さまがお出ましになりました。お日さまのお馬は、蜘蛛の糸を足でふみ切つてしまひました。
 星の女はとはうにくれて、草の上にうつぶして泣いてゐました。さうすると森の鳥がおきて来て、
「あなたのうつくしいおめしものは、わかい猟人が取つていきました。その猟人は、あすこの木の下で、寝たふりをしてゐます。」
 かう、さへづつて星の女にをしへました。星の女はそれを聞くと、すゐれんの花をつなぎ合せて花の着物をこしらへて、それでからだをつゝんで、猟人のところへいきました。そして、
「どうか私《わたし》の金と銀の着物をかへして下さい。そのかはりには、あなたのおのぞみになることは何でもしてあげます。」と、泣き/\たのみました。猟人は、
「私《わた
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