小犬
鈴木三重吉

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)小さな家《うち》に

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#小書き片仮名ン、377−上−6]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)あら/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
−−

    一

 村のとほりにそうた、青い窓とびらのついた小さな家《うち》に、気どりやの、そのくせ、お金にかけては、をかしなほどこまかな、おばあさんが、女中と二人で、ひつそりとくらしてゐました。
 二人は、家《うち》のまへの小さな庭へ、いろんな野菜ものなぞをつくつてゐました。
 ところが或《ある》晩、だれかゞその畠《はたけ》へはいりこんで、玉ねぎを十ばかりぬすんでいきました。女中のローズが、あくる朝、そのほりかへしたあとを見て、びつくりして大声をたてました。
 おばあさんは、何ごとかと、寝間着のまゝでとび出して来ました。
「ど、どろぼうです。ほら。」
「あら/\、まあ、だれだらう。ひ
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