れらの賊たちよりも、もっともっとにくいのはおあにいさまの命《みこと》のお命を奪《うば》った、あの鳥見《とみ》の長髄彦《ながすねひこ》でした。命はかれらに対しては、ちょうどしょうがを食べたあと、口がひりひりするように、いつまでも恨《うら》みをお忘《わす》れになることができませんでした。命は、畑のにらを、根も芽《め》もいっしょに引き抜くように、かれらを根こそぎに討ち亡ぼしてしまいたい、海の中の大きな石に、きしゃごがまっくろに取りついているように、かれらをひしひしと取りまいて、一人残さず討ち取らなければおかないという意味を、勇ましい歌にしてお歌いになりました。そして、とうとうかれらを攻め亡ぼしておしまいになりました。
そのとき、長髄彦《ながすねひこ》の方に、やはり大空の神のお血すじの、邇芸速日命《にぎはやひのみこと》という神がいました。
その神が命《みこと》のほうへまいって、
「私は大空の神の御子がおいでになったと承りまして、ご奉公に出ましてございます」と申しあげました。そして大空の神の血筋《ちすじ》だという印《しるし》の宝物を、命に献上《けんじょう》しました。
命はそれから兄師木《え
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