お住まいになりました。そしてそこからお船をつらねて、波の上を東に向かっておのぼりになりました。
そのうちに速吸門《はやすいのと》というところまでおいでになりますと、向こうから一人の者が、かめの背なかに乗って、魚《さかな》をつりながら出て来まして、命《みこと》のお船を見るなり、両手をあげてしきりに手招《てまね》きをいたしました。命はその者を呼《よ》びよせて、
「おまえは何者か」とお聞きになりますと、
「私はこの地方の神で宇豆彦《うずひこ》と申します」とお答えいたしました。
「そちはこのへんの海路を存じているか」とおたずねになりますと、
「よく存じております」と申しました。
「それではおれのお供につくか」とおっしゃいますと、
「かしこまりました。ご奉公申しあげます」とお答え申しましたので、命はすぐにおそばの者に命じて、さおをさし出させてお船へ引きあげておやりになりました。
みんなは、そこから、なお東へ東へとかじを取って、やがて摂津《せっつ》の浪速《なみはや》の海を乗り切って、河内国《かわちのくに》の、青雲《あをぐも》の白肩津《しらかたのつ》という浜へ着きました。
するとそこには、大和
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