い女の人がいると聞き、みんなてんでんに、自分のお嫁《よめ》にもらおうと思って、一同でつれだって、はるばる因幡へ出かけて行きました。
 みんなは、大国主神が、おとなしいかたなのをよいことにして、このかたをお供《とも》の代わりに使って、袋《ふくろ》を背おわせてついて来させました。そして、因幡の気多《けた》という海岸まで来ますと、そこに毛のないあか裸《はだか》のうさぎが、地べたにころがって、苦しそうにからだじゅうで息をしておりました。
 八十神《やそがみ》たちはそれを見ると、
「おいうさぎよ。おまえからだに毛がはやしたければ、この海の潮《しお》につかって、高い山の上で風に吹かれて寝《ね》ておれ。そうすれば、すぐに毛がいっぱいはえるよ」とからかいました。うさぎはそれをほんとうにして、さっそく海につかって、ずぶぬれになって、よちよちと山へのぼって、そのまま寝ころんでおりました。
 するとその潮水《しおみず》がかわくにつれて、からだじゅうの皮がひきつれて、びりびり裂《さ》け破れました。うさぎはそのひりひりする、ひどい痛《いた》みにたまりかねて、おんおん泣き伏《ふ》しておりました。そうすると、いちば
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