おひとり立ちで天下をお治めになることがおできになるので、順序《じゅんじょ》からいって、お兄上の意富祁王《おおけのみこ》が、まず第一にご即位《そくい》になるのがほんとうでした。しかし、命《みこと》は弟さまに向かって、
「二人が志自牟《しじむ》のうちにいたときに、もしそなたが名まえを名乗らなかったら、二人ともあのままあそこに埋《うず》もれていなければならなかったはずであった。お互《たが》いにこんなになったのもみんなそなたのお手柄《てがら》である。それで、私は兄に生まれてはいるけれど、どうかそなたからさきに天下を治めておくれ」とおっしゃいました。袁祁王《おけのみこ》はそのことだけはどこまでもご辞退《じたい》になりましたが、お兄上がどうしてもお聞きいれにならないので、とうとうしかたなしに、第一にお位におつきになりました。後に顕宗天皇《けんそうてんのう》と申しあげるのがすなわちこの天皇でいらっしゃいます。
天皇はそれといっしょに大和《やまと》の近飛鳥宮《ちかあすかのみや》へお移りになり、石木王《いしきのみこ》という方のお子さまの難波王《なにわのみこ》とおっしゃる方を、皇后にお迎えになりました。
前へ
次へ
全242ページ中233ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
鈴木 三重吉 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング