は、そのお歌を聞いて、たまりかねて泣《な》きだしました。その涙《なみだ》で、赤色にすりそめた着物の袖《そで》がじとじとにぬれました。そして泣き泣き歌って、
「ああああ、これから先はだれにすがって生きて行こう。若《わか》い女の人たちは、ちょうど日下《くさか》の入江《いりえ》のはすの花のように輝《かがや》き誇《ほこ》っている。私《わたし》もそのとおりの若さでいたら、すぐにもお宮で召《め》し使っていただけようものを」と、こういう意味をお答え申しあげました。
天皇はかずかずのお品物をおくだしになり、そのままおうちへおかえしになりました。
三
またあるとき天皇は、大和《やまと》の阿岐豆野《あきつの》という野へご猟《りょう》においでになりました。そして猟場《りょうば》でおいすにおかけになっておりますと、一ぴきのあぶが飛《と》んで来て、お腕《うで》にくいつきました。すると一ぴきのとんぼが出て来て、たちまちそのあぶを食《く》い殺《ころ》して飛《と》んで行きました。
天皇はこれをご覧《らん》になって、たいそうお喜びになり、
「なるほどこんなふうに天皇のことを思う虫だから、それでこ
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