具山《あめのかぐやま》のかずらのつるをたすきにかけさせ、かずらの葉を髪飾《かみかざ》りにさせて、そのおけの上へあがって踊りを踊らせました。
宇受女命《うずめのみこと》は、お乳《ちち》もお腹《なか》も、もももまるだしにして、足をとんとん踏《ふ》みならしながら、まるでつきものでもしたように、くるくるくるくると踊《おど》り狂《くる》いました。
するとそのようすがいかにもおかしいので、何千人という神たちが、一度にどっとふきだして、みんなでころがりまわって笑いました。そこへにわとりは声をそろえて、コッケコー、コッケコーと鳴きたてるので、そのさわぎといったら、まったく耳もつぶれるほどでした。
天照大神は、そのたいそうなさわぎの声をお聞きになると、何ごとが起こったのかとおぼしめして、岩屋の戸を細めにあけて、そっとのぞいてご覧《らん》になりました。そして宇受女命《うずめのみこと》に向かって、
「これこれ私《わたし》がここに、隠れていれば、空の上もまっくらなはずだのに、おまえはなにをおもしろがって踊っているのか。ほかの神々たちも、なんであんなに笑いくずれているのか」とおたずねになりました。
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