思い思いお暮らしになっていました。そんなわけで、天皇はついにある日、淡路島《あわじしま》を見に行くとおっしゃって皇后のお手前をおつくろいになり、いったんその島へいらしったうえ、そこから、黒媛《くろひめ》をたずねて、こっそり吉備《きび》まで、おくだりになりました。
黒媛《くろひめ》は天皇を山方《やまかた》というところへおつれ申しました。そして、召《め》し上がり物にあつものをこしらえてさしあげようと思いまして、あおなをつみに出ました。すると天皇もいっしょに出てご覧になり、たいそうお興《きょう》深くおぼしめして、そのお心持をお歌にお歌いになりました。
天皇がいよいよお立ちになるときには、黒媛《くろひめ》もお別れの歌を歌いました。媛《ひめ》は天皇がわざわざそんなになすって、隠《かく》れ隠れてまでおたずねくだすったもったいなさを、一生お忘《わす》れ申すことができませんでした。
三
皇后はその後、ある宴会《えんかい》をおもよおしになるについて、そのお酒をおつぎになる御綱柏《みつながしわ》というかしわの葉をとりに、わざわざ紀伊国《きいのくに》までお出かけになったことがありまし
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