日矛《ひほこ》はこちらへ渡《わた》って来るときに、りっぱな玉や鏡なぞの宝物《ほうもつ》を八品《やしな》持って来ました。その宝物は、伊豆志《いずし》の大神《おおかみ》という名まえの神さまにしてまつられることになりました。

       二

 この宝物をまつった神さまに、伊豆志乙女《いずしおとめ》という女神《めがみ》が生まれました。この女神を、いろんな神々たちがお嫁にもらおうとなさいましたが、女神はいやがって、だれのところへも行こうとはしませんでした。
 その神たちの中に、秋山の下冰男《したびおとこ》という神がいました。その神が弟の春山《はるやま》の霞男《かすみおとこ》という神に向かって、
「私《わたし》はあの女神をお嫁にしようと思っても、どうしても来てくれない。どうだ、おまえならもらってみせるか」と聞きました。
「私《わたし》ならわけなくもらって来ます」と弟の神は言いました。
「ふふん、きっとか。よし、それではおまえがりっぱにあの女神《めがみ》をもらって見せたら、そのお祝いに、わしの着物をやろう。それからわしの身の丈《たけ》ほどの大がめに酒を盛《も》って、海山の珍《めずら》しいご
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