前をおつけになりました。そのつぎに右のお目をお洗いになりますと、月読命《つきよみのみこと》という神さまがお生まれになり、いちばんしまいにお鼻をお洗いになるときに、建速須佐之男命《たけはやすさのおのみこと》という神さまがお生まれになりました。
 伊弉諾神《いざなぎのかみ》はこのお三方《さんかた》をご覧になって、
「わしもこれまでいくたりも子供を生んだが、とうとうしまいに、一等よい子供を生んだ」と、それはそれは大喜びををなさいまして、さっそく玉の首飾《くびかざ》りをおはずしになって、それをさらさらとゆり鳴らしながら、天照大神《あまてらすおおかみ》におあげになりました。そして、
「おまえは天へのぼって高天原《たかまのはら》を治めよ」とおっしゃいました。それから月読命《つきよみのみこと》には、
「おまえは夜の国を治めよ」とお言いつけになり、三ばんめの須佐之男命《すさのおのみこと》には、
「おまえは大海《おおうみ》の上を治めよ」とお言いわたしになりました。
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 天《あめ》の岩屋《いわや》

       一

 天照大神《あまてらすおおかみ》と、二番目の弟さまの月読命《つきよみのみ
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