しめるのだなと思って、じぶんもお家へかえって、牛乳とパンを食べて寝るのでした。
 或日《あるひ》お父さんは、男の子をよんで、
「おまいはほんとによくはたらいておくれだ。そのごほうびに、きょうは一日おひまを上げるから、どこへでもいってお出《い》で。ただ、このおやすみは、神さまが下さったのだということをわすれてはいけないよ。うかうかくらしてしまわないで、何かいいことをおぼえて来なければ。」と言いました。
 男の子はたいそうよろこびました。では、今日《きょう》こそは、あの金の窓の家へいって見ようと思って、お母さまから、パンを一きれもらって、それをポケットにおしこんで出ていきました。
 男の子にはたのしい遠足でした。はだしのまま歩いていくと、往来の白いほこりの上に足のあとがつきました。うしろをふりかえって見ると、じぶんのその足あとがながくつづいています。足あとは、どこまでもじぶんに、ついて来てくれるように見えました。それから、じぶんの影法師《かげぼうし》も、じぶんのするとおりに、一しょにおどり上ったり、走ったりしてついて来ました。男の子にはそれがゆかいでたまりませんでした。
 そのうちに、だん
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