王さまはまたウイリイをお呼びになって、命の水と死の水を持って来い、それが出来なければすぐに命を取ってしまうとお言いになりました。ウイリイは廐《うまや》へ行って、
「私は今度こそはもういよいよ殺されるのだ。だれにくび[#「くび」に傍点]をしめられるのか知らないが、もうそんなことはどうでもかまわない。」
 こう言って自分の馬にお別れをしました。馬は、
「それはあの三本目の羽根を拾ったたたり[#「たたり」に傍点]です。私があれほど止めてもお聞きにならないから、こんなことになったのです。しかしもう一度どうにかして上げますから、王さまに銀のびん[#「びん」に傍点]を二つもらってお出《い》でなさい。」と言いました。
 ウイリイは銀のびん[#「びん」に傍点]をもらって来て、馬のさしずどおりに、一つへ命の水という字を彫らせ、もう一つへは、死の水という字を彫らせました。
「それでは早く鞍《くら》をおおきなさい。」と馬が言いました。ウイリイは間もなく馬に乗って大急ぎで出ていきました。そのとき窓のところに立って見ていた王女は、
「そのたすけ手がついていれば、きっと見附かります。」とウイリイに言いました
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