。それは、ちか/″\に玉木《たまき》の大叔母《おばあ》ちやんが、はる/″\曾祖母《ばあばあ》をつれて、すゞちやんを見に来て下さるからでした。そして、あき子|叔母《をば》ちやんもお家《うち》の人になるので、すゞちやんの生れたお家《うち》ではせまくてこまるからでした。
すゞちやんは、とき/″\あき子叔母ちやんのおひざにだかれて、ぽつぽのかごのところへいきました。ぽつぽはこちらのお家《うち》でもまたガラス戸の中へおかれてゐました。すゞちやんは、ぽつぽのかごのわきに立つちをさせてもらふと、ちようどお口がふちのところへ来ました。すると、すゞちやんはいつの間にか、ちゆッ/\と、ふちをしやぶつてゐました。それから、お手《てて》にもつてゐるがら/\をふりました。
「まァ、すゞ子ちやんは、先《せん》から見ると、ずゐぶんおほきくおなりになりましたね。」
ぽつぽはかう言つて、叔母ちやんとお話をしました。
それからまた寒い冬が来ました。その冬があけると、すゞちやんはそろ/\はひ/\をし出しました。それからまた青い八月がまはつて来ました。すゞちやんは、歩いてはたふれ、歩いてはたふれして、よち/\ともう十足
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