。」と王子は言いました。
「はいはい、どうぞおねがいいたします。」と、その男も家来になりました。この男は火《ひ》の目《め》小僧《こぞう》という名まえでした。

       三

 王子はこんなめずらしい男を三人まで家来にかかえたので、大《だい》とくいになって、どんどん歩いていきました。そのかわりこれまでとちがって、三人をやしなうのに、大そうなお金がかかりました。だって火の目小僧と長々《ながなが》の二人は、ただあたりまえの人が食べるだけしか食べませんでしたが、もう一人のぶくぶくは、お腹《なか》がいくらでもひろがるので食べるも/\一どに牛肉の千貫目やパンの千本ぐらいは、どこへ入ったかわからないくらいです。そんな男に腹一ぱい食べさすには、とても一とおりのお金ではすみません。しかし王子は、ちっともいやな顔をしないで、食べたいだけ食べさせてどんどんお金をはらいました。
 そのうちにやっとれいの王女のいる町へ着きました。王子はそのときはじめて、じぶんがはるばるここまで出て来たわけを三人に話して聞かせました。そしてどうか三晩とも眠らないで番をしとおしたいものだ、そしてうまく王女をお嫁にもらったら、
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