ら。ちきしよう。えゝい、にげやがつた。この、しつぽのちよんぎれ野郎。」
もみの木を切りたほすと、それをおうちへもつていつて、かざりつけをするのです。
「あゝ、あのころはおもしろかつたな。」と、ユウコフはつく/″\かうおもひました。まだお母さんも生きてゐて、だんなのところで、はたらいてゐました。お嬢さんのオルガさんは、いつもユウコフにお菓子をくれました。お嬢さんは用がないので、ユウコフに読みかきだの、百までの計算だの、しまひには、ダンスもをしへてくれました。
ユウコフは、また/\ふかいためいきをして、かきつゞけます。
「だんなさま、どうぞ、わたしをひきとりにきてください。キリストさまのおんなにかけて、きつときつときてください。それから、ネリイと、めつかちのグレゴリイと、馬車やさんによろしく。さやうなら。ユウコフより。ほんとうに、だんなさま、きつとですよ。」
かきをはると、ユウコフは、紙を四つにをつて、それをこなひだかつておいた封筒に入れました。そして、しばらく考へてから、あて名をかきました。
「ゐなかの、
コンスタンチン・マカリッチの、だんなさま。」
かいてしまふと、ユウコフは、
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