あなたのタバコもきざみます。あなたのことを、神さまにおいのりもします。どうぞ、ごしようだから、たすけてください。
はたらかなければいけないのなら、うちの給仕さんのかはりに、クツみがきをさせてください。でなければ、はたけに出ます。村へにげていかうと、いくどもおもひました。ほんとにいくどもです。でも、わたしには靴がない。おもてはさむいから、はだしではだめです。
わたしが大きくなつたら、だんなさまのことは、なんでもします。だんなさまが死んだらおまゐりをします。ほんとに、おねがひです。わたくしをつれにきて下さい。
モスクワは、大きな町です。どの家も、みんな、だんなさまのおうちよりりつぱで、それから、馬がどつさりゐます。羊はゐません。犬もゐます。でも、村の犬みたいに、人にほえついたりなんかしません。
こなひだ、町で、つり竿をうつてゐる店をみました。つり竿には、針と糸がついてゐて、針には、こしらへたお魚がぶらさがつてゐました。針はみんな大きくて、かゝつてゐるお魚もとても大きなサメなんかです。
鉄砲を売つてゐる店もみました。だんなさまがもつてゐるのみたいに、百円よりもつとする鉄砲です。
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