рェ此の試みをする決心を固めてくれたのである。それ故にベンタムは Basic English の眞の父である。1」とオグデン氏が言つてゐる。虚構(事實でないことを事實らしくしくむこと、つくりごと)に關する思想はカント、ニィチェ等古來多くの哲學者によつて注意せられた問題であるが、特に英國の法理學、政治哲學の實際及び理論の兩方面に亘つて、他國のそれに於いてよりは一層重要な役割を演じて來た、とファイヒンガーも言つてゐる。而してオグデン氏がベンタムの「言語上の虚構」(Linguistic Fictions)の理論を檢討展開せしめて、それを實際に應用した結果が遂に Basic English となつて現はれたのである。而してベンタムは彼の言語理論によつて英語を整理して國際語たらしめる可能性を主張した最初の人であつて、international といふ語は彼の初めて用ゐたものである。そもそもベンタムが「言語上の虚構」に關心を持ち始めた動機は、一つには、彼が幼年時代に惱まされた幽靈(ghosts)に對する恐怖の念に就いての考察に由來し、又一つには、オックスフォードに於けるブラックストン(Sir Wi
前へ 次へ
全102ページ中9ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
高田 力 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング