燬{習に困難である、と言ふことを口にするのが常であるが、ひるがへつて、難易の如何は教導の仕方、教材の取扱ひ方等に依ることが大きいことに氣付かねばならない。その構成分子の意味が明瞭に理解せられないうちに、慣用句や聯語(collocation)等を無暗に詰込むことは徒に記憶の負擔を増すのみで全く無駄なことである。
(5) Basic English はその本質に於いて a limited English であつて、a changed English ではないのであるから、Basic より進んで普通の英語に入る際に、それによつて妨げを受けたり、或は學び直しをしなければならないやうな點は別にないのは勿論、Basic によつて得た確實なる基礎的知識は普通の英語への極めてよき自然の踏臺となるのである。これに就いてオグデン氏はかう言つてゐる。「それ[#「「それ」は底本では「それ」]自體で完全な組織を成してゐる Basic の習得を終つた人々で、更にその知識を漸次に補足し度いと思ふならば、Basic より普通の英語へ進むに當つて必要な連鎖が用意されてゐる。即ち850語に次いで來るべき150語(合計1,000語になる)、更にこれに次ぐ350語、更にこれを殖して500語に、又更に1,000語に、或は(動詞用法の要點を含めて)2,000語に増加した語彙が、若干の專門語彙と共に、850語が選定されたと同樣な原理に基づいて總て選定されてゐる。而して Basic それ自體は此の場合常に學習の基礎となつて働くものである。茲に特に注意すべきことがある。それは、語表に載つてゐる850語の大部分は、國際補助語としての Basic の認めるもの以外の用法を持ち得ることは明かである。而して普通の英語の學習の或る時期に於いて、これ等 Basic の規定以外の用法が Basic 組織を擴張した場合に、その中に入ることは明かである。併し、初めのうちは、Basic の核心には手を觸れないで置かねばならない。即ち漸を追うて増加されて行く語彙が、Basic の規定以外の派生語や語尾變化を理解するに必要な類似語形を提供してしまふまでは、Basic 組織はそのまゝにして置くべきである。然らざれば、混亂を免れ難いのである。而して特に適當な時期に(即ち、1,500語の全部を習得してしまつた後)50語の特別な動詞を取り入れることが、目的とする普通の英語への進入には必要缺くべからざるものである。それ故に先づ第一に補足せらるべき語彙は、國際的に分布してゐない動物、植物及び食物の名150である。此の繪に描き得る語の追加に次いで、第一段階の追加語彙350*(名詞及び形容詞)が來、これに第二、第三の追加語彙が續くのである。同時に Basic を科學、商業、經濟學及び The Basic Bible[#「The Basic Bible」は斜体] 等に應用する爲に用意されてゐる特別語彙は、追加語彙の2,000に達した段階、即ち最後の段階に於いて、それを徐々に取り入れてもよいのである。」1と。
* [#ここから斜体]absence, accident, address, adventure, advice, age, agent, ago, along, also, always, ambition, anchor, ankle, arrangement, ash, awkward, balcony, barrel, beard, beat, behind, belt, bet, blame, blanket, both, bottom, brave, breakfast, breast, bubble, bud, bunch, burial, busy, calculation, call, capital, carpet, case, ceremony, chair, character, child, chimney, china, choice, civilization, clay, clever, collection, column, communication, concert, concrete, convenient, cool, corner, cost, crop, cross, cunning, date, demand, department, dew, difficulty, dinner, disgrace, dislike, ditch, dive, divorce, doll, dreadful, dream, dull, duty, each, easy, economy, effort, either, employer, empty, enemy, env
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