, safe, same, second, secret, solid, sweet, waiting, wet, wrong, young 及び色を表はす形容詞である。「意味の特殊化」とは語の意味が或る場合に限定されて、或る特殊の意味に用ゐられることである。例へば、powder(粉)を They gave the baby a powder[#「a powder」は斜体] at the hospital. の如く「粉藥」の意味に、heat(熱)を We do nothing in the heat[#「the heat」は斜体] but go to sleep. の如く「酷暑」の意味に用ゐるやうなものである。cover(覆ひ)を「蓋《ふた》」、competition(競爭)を「試合」の意味に用ゐるのも同樣である。

 * Damageの他の用法を示せば、They are looking at the damage[#「damage」は斜体] done by the strong wind yesterday. He has a damaged[#「damaged」は斜体] finger(指を一本傷めてゐる). He made a damaging[#「damaging」は斜体] statement about her book(名譽を傷けるやうなことを言つた). He got 1,000 yen damages[#「damages」は斜体](損害賠償)from the company. の如し。

 これ等意味の轉用についてオグデン氏はかう言つてゐる。*名詞その他の總べての語の意味の範圍を擴張して用ゐる主なる方法が二つある。即ち「擴張」と「特殊化」とである。意味の擴張とは、一つ或は數個のものを表はす爲の語を、何かそれに關係のある一つ或は數個の物に及ぼして用ゐることである。その關係は部分の全體に對する關係であることもある。例へば「文字」の意味の letter から「手紙」の意味の letter が出るやうなものである。又原因の結果に對する關係のこともある。例へば bite を「咬むこと」といふ動作と「咬まれた物」とをあらはすに用ゐる。又行爲の行爲者に對する關係を表はすこともある。例へば、lift「揚げること」といふ行爲から「揚げるもの(昇降機)」といふ意味が出るやうなものである。而して比喩は意味の擴張の一種特別な形であつて、一定の關係を含んでゐる一群の事物を表はす爲の語を類似の關係を表はす爲に、他の一群の事物に適用することである。かやうな譯で、Basic 語彙の中から tenacity(執拗、頑固)、scheme(計畫、畫策)の如き語を除いた爲に、'the grip of a disease,' 'designs for the future' と言つてもよいのである。

 * Basic English[#「Basic English」は斜体], pp. 45−6.

「特殊化」とは廣い意味の語に或る特別な意味を持たせて用ゐることである。例へば、send in an account と言へば、send in a bill(勘定書を送る)の意味となるのである。又我々が新聞で、'the death of a famous judge' の記事を讀む時には、その judge(判斷する人)が馬の judge か、酒の judge か、繪畫の judge か、の何れであるかに迷はないで、我々は直ちに法律上の judge 即ち裁判官であることを知るが如き場合である。「特殊化」は或る意味に於ては、限定することであるが、それに依つて非常に狹い用法しか持つてゐない語を全體の語彙から取除くことが出來るのであるから、却つて語彙の活用範圍を擴大することになる。

            4. 複合語

 名詞其他を適當に連結して、例へば、camera−man(寫眞師、撮影技師)、coal−house(石炭貯藏所)、house−coal(家庭用の石炭)、account−book(金錢出納簿)、motion picture house(活動寫眞館)などといふのも英語の特徴であるが、Basic では此の方法を大いに利用するのである。dictionary の代りに word−book、perambulator(乳母車)の代りに baby−carriage と言ふ。此の複合語の作成は新語の製造に對して非常に豐富な領域を與へるものである。
 其他の例 : ―cupboard, cow−house, copyright, handwriting, downfall, income, inside, outside, good−looking, outcome, out
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