なものである。而して比喩は意味の擴張の一種特別な形であつて、一定の關係を含んでゐる一群の事物を表はす爲の語を類似の關係を表はす爲に、他の一群の事物に適用することである。かやうな譯で、Basic 語彙の中から tenacity(執拗、頑固)、scheme(計畫、畫策)の如き語を除いた爲に、'the grip of a disease,' 'designs for the future' と言つてもよいのである。

 * Basic English[#「Basic English」は斜体], pp. 45−6.

「特殊化」とは廣い意味の語に或る特別な意味を持たせて用ゐることである。例へば、send in an account と言へば、send in a bill(勘定書を送る)の意味となるのである。又我々が新聞で、'the death of a famous judge' の記事を讀む時には、その judge(判斷する人)が馬の judge か、酒の judge か、繪畫の judge か、の何れであるかに迷はないで、我々は直ちに法律上の judge 即ち裁判官であることを知るが如き場合である。「特殊化」は或る意味に於ては、限定することであるが、それに依つて非常に狹い用法しか持つてゐない語を全體の語彙から取除くことが出來るのであるから、却つて語彙の活用範圍を擴大することになる。

            4. 複合語

 名詞其他を適當に連結して、例へば、camera−man(寫眞師、撮影技師)、coal−house(石炭貯藏所)、house−coal(家庭用の石炭)、account−book(金錢出納簿)、motion picture house(活動寫眞館)などといふのも英語の特徴であるが、Basic では此の方法を大いに利用するのである。dictionary の代りに word−book、perambulator(乳母車)の代りに baby−carriage と言ふ。此の複合語の作成は新語の製造に對して非常に豐富な領域を與へるものである。
 其他の例 : ―cupboard, cow−house, copyright, handwriting, downfall, income, inside, outside, good−looking, outcome, out
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